スパム対策
  無弦弓 詩歌と絵画

  無弦弓

                       吾生まれて世にはぐれたる迷ひ子の・・ゆるり、ふらり、と独り言 戯言 〜〜日本の古典文学と詩歌を読みすすめています

元旦なのですが、お雑煮とおせち料理以外にはさして生活に変わりは無く暇なので、大手古本店に出掛けました。
ジャンコクトーの展示会図録・佐藤春夫集・阿部晴明の歴史群像シリーズ・封印された南宋陶磁器展図録を手に入れました。

今日はジャンコクトーのお話からはじめましょう。
私はコクトーに関して、詩集を少しと幾つかの小説を読みました。
差して詳しくは無いと思いますが、彼の絵画はかなり好きです。
詩も好きなものが幾つかありますが、難解ですね(笑)。
コクトーはそのほかにも舞台芸術や教会の壁画など、さまざまに活躍した芸術家です。

多分私自身も彼をしっかりと理解できていないとは思いますが、解らないなりにお話し進めます、お許しを。

ジャンコクトーは詩人でもあり、画家でもありました。
コクトー展図譜には画家としての作品が多く紹介されています。
その中で、心を打たれた作品群が「鳥刺しジャンの神秘」。


1924年の夏、前年末にラディゲを亡くし傷心のコクトーは、南仏ヴィルフランシェのホテルに閉じこもり、自殺の思いを阿片の陶酔に紛らわせる日々を送っていた。「書く」ことがほとんど不可能なまま、室内の鏡を凝視するうちに生まれたのが、31枚の自画像と余白のモノローグ『鳥刺しジャンの神秘』である.図録より本文儘

ちょっとアブナイ内容ですね。
連作はいずれも重苦しい悲しみに沈む鋭い眼光の自画像で、その視線に射られるような痛みを感じます。
そんな少し恐ろしい印象を受けるのは上記の精神的背景があったからなのでしょう。

シリーズの中の一枚(No15)が画像として本の表紙になっているものがありましたから載せてみます。


ジャン・コクトー―幻視の美学 (平凡社ライブラリー)ジャン・コクトー―幻視の美学 (平凡社ライブラリー)
(2003/11)
高橋 洋一

商品詳細を見る


この「鳥刺しジャンの神秘」に堀口大学がよせた文章があるので書き添えます。

1920年代の初めの数年間、コクトーがデッサンに熱中した時代があった。彼のデッサンは久しくピカソの推賞する所だが『デッサン集』『鳥刺しジャンの秘密』以下十冊以上の画集が出版されている。就(つ)いて見るに、ダイヤで硝子(ガラス)に彫りつけたかと思われるほど冷たくて硬い前人未発の線によるその作品は、粗々しい力を持った文字の一種であって、彼が呼んで<図形による詩>となす理由がうなずける。〜中略〜それは悲痛な彼の夢想のさし絵のようなものだ。コクトー詩集より本文儘

別の本から、澁澤龍彦訳の詩を、コクトー詩集『明暗』より

僕は生きた 君の情熱と怠惰を喰らって
君は僕を盲目にし 聾にした
だがそれは必要だったのだ 愛神よ なぜなら 
沈黙こそがひとつの愛なのだから

詩集『明暗』はコクトーがアカデミーに入会する一年前の出版だが、はなばなしい世間的な成功のかげに、六十歳の老詩人の孤独がにじみ出ている。
河出文庫「大胯びらき」より本文儘

孤独な詩人コクトー もう少し読みすすめてゆきたい詩人です。
このおはなしは、またいつの日にか・・・