これほど充実した安価なカラー図譜が2005年に出版されていたことを知りませんでした。
マニアな方々は既にご存知とは思いますが、まだの方々へ取り急ぎご紹介。
アマゾンで「なか見検索!」ができることにも驚きです。
なか見検索できる本は限られていましたよね。
詳細を見ることができ思わず欲しくなってしまわれるかも知れませんが、ファンの方々は是非、最後のほうにあります妖怪索引と参考文献を御覧下さい。
<欲を言えば個々の説話出展が明記してありません、したがって、遡って出典を探るには不向きです。>
![]() | 江戸諸国百物語 東日本編 (ものしりシリーズ―諸国怪談奇談集成) (2005/10) 人文社編集部 商品詳細を見る |
カマイタチは今日では気象現象とされ気象学の教科書に登場しているそうです。
その文献上の初見が伽婢子(おとぎぼうこ)であったことを調べていて初めて知りました。妖怪に関しては他の文献に譲る事といたします。
鎌鼬の原典であるこの作品には、その元話について「日本の民間伝承に拠るものか」と注釈に有るのですが、お話としては、了意のオリジナル。あっさりした文章です。浅井了意畏るべしです。
(拙意訳、間違っていたら許してください。)
関八州のあいだにカマイタチという奇怪な事象がおこった。
旋風が吹き起こって道行く人に当ると、太ももの辺りが縦にカミソリで切ったように傷口が口開く、しかも差して痛くは無いというのです・・・
鎌鼬付提馬風
流行りの肺病で一族が死滅し、兄弟二人が残った。
弟の妻も亡くなり、後に残った赤子は乳に飢えて泣いたのです。
すると亡くなった筈の妻が・・・。伽婢子おとぎぼうこから。
鳥辺山の幽霊飴をも連想させる此のお話。
元話は五朝小説の鉄囲叢談「河中有姚氏云々」に基づき、終末の一部を削除するのみで、ほぼ忠実に従ったとのこと。本文は怪談名作集より 解説は新体系より
伽婢子 巻之十三 二
幽鬼嬰兒に乳す
伊豫の國風早群の百姓、ある時家中大小の人打つゞきて死す。
其外村中の一族残りなく死去て、只兄弟二人生留まりぬ。
傳尸労瘵※1の病はまことに減門※2に至るといふ、定めて是等其ためしなるべし。

あまり怖くない幽霊の絵ですし、赤ちゃん可愛いですよね。
諸国百物語はこちら怪談もくじ
諸国百物語を読んでいましたら、安倍晴明が出ていました。短いお話ですが、折角見つけたので書いておきます。
諸国百物語 巻之三
九 道長の御前にて三人の術くらべの事
長徳年中のふじはらの道長の御まえに、ゐい山の僧欽朱と安倍晴明と医師のしげまさと、三人同座してゐられけるが、菓子に瓜のいでけるを晴明見て、此うりの内に毒あるうり有とうらなふ。道長きこし召、さらば、このかずのうりにいずれか毒あらんとかぢし給へと仰られければ、欽朱うりにむかって印をむすびかぢし給へば、たちまちひとつのうりをとりいでければ、重正ふところより針をとり出し、うりをさしければ、此うりうごきやみぬ。道長此うりをわりて見られければ、そのなかに蛇一づぢありしが、蛇のまなこに針あたりて死てゐたり、三人ともにその術につうじけるとて道長はなはだかんじ給ひけると也。
諸国百物語にも安倍晴明が出ているのを発見して、時代を超えた人気者だなぁと改めて思いました。
もう少し百物語と伽婢子を読み進んだところで、芥川龍之介の「地獄変」宇治拾遺物語を読もうと思っています。でも、ちょっと毎日暑いじゃないですか、暫くは軽めに楽しもうと思います。
諸国百物語 巻之三 九 道長の御前にて術くらべの事
近世怪異小説研究 太刀清 著 笠間叢書137 笠間書院刊
キーワード:集異志 後趙石季流云々 過去記事もくじ
今回は「伽婢子」より石戦の事(いしいくさのこと)、大石相戦というお話です。
中国の「石が戦い血が流れた」というお話しを了意が日本の新潟県上越市中屋敷の春日山にあった越後守護上杉氏の居城に設定を移し、後に起こる跡目争いの予兆としたのです。
柳田國男をふと思い出し、面白いな、と書き出してみます。
大石相戦
諸国百物語の百番目のお話し は『百物がたりして富貴になりたること 』です。
百物語をしてお金持ちになってしまうという意外な展開におどろきました。
いえ、驚いたといっても、これが本家本元、怪談百物語として記載されたお話しの最古、
諸国百物語の百番目の『最終話』になるのですがね。
兎に角、お話しをはじめるといたしましょうか。
(つたないですが現代語の意訳をつけます。え〜間違っていたら笑ってゆるしてくださいね)
諸国百物語 最終話 巻之五 二十
百物語して富貴になりたる事
京五条ほり川の辺に米屋八郎兵衛と云ものあり。
そうりやう十六をかしらとして子ども十人もち、久しくやもめにてゐられけるが、あるとき子どもに留主をさせ、大津(おおつ)へ米をかいにゆかれけるが、子どもによく╱╲留主(るす)をせよ、めうにちかえるべしといひをかれる。その夜あたりの子ども七八人よりあひあそびて百物がたりをはじめけるが、はやはなしの四五十ほどにもなれば、ひとりづゝかへりてにちには二三人になり咄八九十になりければ、おそれてみな╱╲かへり、米屋のそうりやうばかりになりにけり。

