私のような出不精者でも外にでようかと思える季節です。
梅も見頃と聞いてはおりますが、人ごみはどうも苦手、近所の空き地の梅でも十分美しいし。
と・・・なにやらかにやらつぶやきながら、結局出かけたのは古本屋さん。なじみの小林書店さんです。

今昔物語集を読みすすめていると芥川龍之介が彼の小説のネタに使った話しが沢山あるのです。
そのつど芥川龍之介が読みたくなり、まあ、有名な話は青空文庫にありますから、それを読むのですがね、でも、やっぱり紙に印刷した活字を目で追い、ページを指でめくりたいわけです。
ふと、芥川龍之介全集が欲しい・・・と思い、小林書店のホームページをクリックすると、ありました、ありました、三千円、小林さんまた破格に安いわ・・・と思いつつ車で一時間ほどかけて出かけました。
(記事の途中、過去に小林書店で購入した愛読書を画像とともに挿入します。)
ホームページを拝見して、芥川龍之介全集をいただきにあがったんですが」
小林「う〜ん、芥川龍之介全集・・・無いデス」
丹「ええっ?ホームページの在庫にありましたよ」
小「ああ、これですね現在テスト版につき注文等は受け付けておりません
ってちゃんと書いてあるぢやないですか」
丹「あれ、ほんとだ・・、どうして更新しないんですか?」
小「いや・・・コンピューター操作が上手く行かなくって、
『日本の古本屋』に在庫の一部は登録してあるんですがね。」
小「でも、ウチにあった芥川全集、これは古いもので、今は新しいのが出てますよ」
丹「岩波のヤツですよね」
小「そうそう12巻だったかな〜」
丹「ネットで見たら新しい24巻の立派なのがありました。
でも、筑摩書房のこれはコンパクトなシリーズですよね。
ウチは狭いし、本は増えちゃうから、最近はよっぽどのことが無いと買わないんですよ。
これならあまり場所をとらないかなぁと、九冊でしたか」
小「八冊ですよ、ひとまわり小さな版です」
良いですよねぇ、こう云う本好きの会話って。
(日本の古本屋はネット古書店です)

マリーローランサンの詩集
堀口大学訳の方が好みではありますが、
また違った雰囲気の訳詩になっています
鳥
美しい
鳥たち
お友達ではないけれど
つい聞きほれる
さえずりの声。
大島辰雄 訳
日本の古本屋サイトの話でひとしきり盛り上がります。
小「たとえばね、岡本太郎の昭和30年代の珍しいパンフがあってね、
市場にはないから高い値をつければイイと思うんですよ。思うけど、できない。」
丹「う〜ん、小林さん極めて誠実な性質ですから、きっとね、小林さんが思う値段より
千円は高くつけても十分だと思いますョ。
貴重な資料は欲しい人間にとっては宝ですから。」
小「そうなんだけどね、できなくって。
そうしてそう云う貴重なモノはすぐ売れちゃうんですよね。
売れた後になってから臍(ほぞ)をかむんですよ、
しまったなぁ〜もう少し高くすれば良かったって。」
私の周りの日常会話で「臍をかむ」なんて単語、めったに出て来ません、小林さん以外には。
こう云うところも尊敬するなぁ〜

讀者に
愚かしさ、過失(あやまち)、
罪科(つみとが)、
物吝(ものおし)み、
精神(こころ)を領し
肉體(にく)を犯して、
乞食の蝨(しらみ)を養ふごとく、
われは愛(いと)しき
悔恨(くい)を育(はぐく)む。
岩波文庫、鈴木新太郎訳とは
ひと味違って読み比べると
また、理解が深まります。
齎藤 磯雄 驛
丹「私、最近は図書館通いしてるんです。中央図書館まで行けば大概の本はありますし。」
小「図書館ねぇ、最近なんでもベストセラーを何そろいも揃えるのだとか。
知り合いの図書館関係の方のお話聴くとね、客寄せかもしれないけれど、
ベストセラーをそんなふうに置くのはちょっとね。漫画とかも。
図書館なんだから、もっと他に買うものはあると思うんですよ。
まあ、館長さんによっても随分違うらしいですがね。
お役所で分野違いの人がなると結構大変らしいです。」
丹「へ〜、天下りなんですかね、そういうのも」
私自身、時にはベストセラーも読みますが、そうですね、最近では「東京タワー」は読みましたか、面白かったです。熱中して読んでいる京極夏彦もベストセラー系でしょうか。
こういった本は大手古本チェーン店に必ず安価で出ますね、それまで待ってから買っても遅くはないと私は思うのです。
丹「ああいう、大手古本チェーン店は、何と云うか・・
良く行くのですが最近は、品揃えがまあ、どう表現したらよいか・・」
としきりに口ごもる私に
小「ああいうのは、本屋じゃない」
とさらりと言い切る店主小林殿はカッコイイです。
結局、図書館で借りる話にまとまり、帰り道に図書館へゆくと・・・・
小林さん!芥川龍之介全集は区の図書館にありませんでした。
柳田國男全集も無いです。幸田露伴全集がある筈も無いですね。
こうなると、なぜ、吉備大臣入唐絵巻があるのか、在る事の方が不思議ですねぇ。
探していた幸田露伴の連環記は文学全集の中にあったので借りてはきましたが。
芥川龍之介全集は、中央図書館まで行くか、取り寄せ申請をするか・・
慶滋保胤が登場する作品たち
芥川龍之介「六の宮の姫君」も幸田露伴「連環記」も青空文庫にはあるのです。
青空文庫が成し遂げようとしていることは、非常に偉大な事なのだと改めて思いました。

本日小林書店で購入したのがこの本
・・・私の小説の中では、この(胡蝶の)故事をもちだして、
それを全くちがった人物と閲歴に結び合わせました。
この何十年来の中国の激動と変化、人生の浮沈は、
人々にときとして蝶となり、時として荘周となる、
といった感慨を催させずにはいられなくしました
〜日本語版への序文より
みすず書房の本なのに、安いです、小林さん!
こういった本は一般書店でも、大手古本チェーン店でも
店頭には並んでいません。
素晴らしい古書店が近くにあれば、上質の本(知識)が手に入りやすいと云うことなんですよね。
良質の古書店が少なくなって、改めて切実に感じました。

小林書店は美術関係に強い書店なのです。本の中に入っているオリジナル栞はビアズリー、素敵です。店内には美術専門書がずらーっと並んでいます。古い芸術論や展覧会図録、洋書にいたるまで、より専門に特化しています。
中央図書館の近辺に沢山あった古本屋さんも
ここ数年〜十年で随分少なくなりました。
凄く寂しい気持ちです。
ところで、小林書店にはブログがあるそうなんです。
「リンクさせてください!」とお願いしましたら
店主殿、デスクトップ画面を見ながら・・・
あれ?どこに入れたか忘れちゃったなぁ〜
娘がやって来て、一時間ぐらいでささっとページを作ってくれて
「毎日書いてね」って云われたんだけど、三日坊主で書いてないからなぁ〜
・・・と云うことで、「小林書店ブログ」は店主殿がデスクトップ画面探し出しましたら、早速リンクに入れさせていただきます。お楽しみに!
頑張れ日本の古本屋さんたち!!!
小林書店の案内です
小林書店見本のホームページ、在庫はあてになりません。
電話して確認してくださいね。
お近くの方、是非、店主殿の顔を見に覗いてみてくださいませ。
とても楽しい古本屋さんです。
◎さん、こんばんは。
コメントを頂きありがとうございました。
お元気そうで何よりです。
実現するかどうかは別として、何かを大切ににてみるもの良いかと思います。
「ちと」は武者修行に出ていますが、最近耐久レースの様相を呈してきました。お暇ならお気軽にいらしてください。今度ともよろしくお願い申し上げます。
2008.05.29 21:31 URL | 丹桂 #- [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008.05.29 20:21 | # [ 編集 ]
玖堂 匡介 さん、
こんばんは、はじめまして。コメントを頂きありがとうございます。
私は古本屋さんが眼に入ると、たとえ旅先でも、ふらふらと入ってしまいます。
一般書店にはない奇妙な本が置いてあり、ついつい怪しい世界へ入り込んでしまうのです(笑)。
是非いちど、「怖いもの見たさ」にでもお入りになって、思い切って店主殿に声を掛けてみては如何でしょうか。興味深い話を聞くことができると思います。(なかでも小林さんはとびっきりに魅力的なお話をしてくださるのですがね)
古典がお好きとのこと、
ここは地味で無愛想な古典記事が多いのですが、よろしければまた、お越しください。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
2008.03.24 21:04 URL | 丹桂 #S2b0Fqvo [ 編集 ]
初めまして。玖堂と申します。
なんだかいいですね。こういう会話が出来るというのも。
目当ての本がなかったとしても、このような会話が出来るならちょっと覘いてみようかな、なんて気もしてしまいます。
しかしながら近所に古書店を見かけませんが(泣)
初めて伺ったので、まずは挨拶代わりに日記の方を拝見させて頂きましたが、実は古典などに興味もありまして、のちほどそちらの方も覘かせて頂こうと思っています。
その際はご相手を願えましたら嬉しい限りです。玖堂でした。
トラックバックURL↓
http://mugenkyuu.blog4.fc2.com/tb.php/30-f411ece9