『諸国百物語』は、「日本小説年表」仮名草子の出版年代未詳部に「諸国百物語 五」と記されているもので、百物語を名告る怪異小説の第一作である。以降に続出する百物語系怪異小説の先蹤的役割を果たしている。 〜近世怪異小説研究 より
そんなわけで、気になる「諸国百物語の序」を、ご紹介いたします。
諸国百物語 序
そも╱╲此百物語の出所を尋ぬるに、信州諏訪(しんすうすは)と云所に武田信行といへる浪人有。ある夜雨中のつれ╱╲″に伴なふ旅の若侍(わかさぶらい)三四人の咄をするついで、信行いへるやうは、昔より百物語と云うことをすれば、かならずその座に不思議なことありといへり。
そも╱╲いざよひ語りて心見んとて、をの╱╲車座になみゐて、真中に灯心百筋たてゝ、灯(ともしび)をとぼし、さて咄をはじめ順々にまわし、咄ひとつに灯心(とうしん)一つづゝのぞきけるほどに、すでに咄も九十九になり、灯心も今一すぢとなり何とやらん物すごき折ふし、座敷の天井へ大盤石(だいばんじやく)などのおつるごとく、おびたゞしき音して灯もきえければ、をの╱╲おどろきけるに、信行さはがず心得たりといふまゝにとつておさへ、ばけ物はしとめたり、大なる人の股(もゝ)にてあるぞ、火をともせといえば、手に╱╲灯をたてゝこれをとれば、その座につらなりし侍の股をとりふせゐたりけり。みな╱╲どつと笑ひて退出(たいしゆつ)しけり。そのとき執筆(しつひつ)の書しるしたる咄の書を、今梓(いまあずさ)にちりばめ世にひろめて老若男女のなぐさみ草(ぐさ)とす。当時(そのとき)すでに百物語と云双紙あれども、わらべのもてあそび草にして、出所正(しゆつしよ)正しからず。今此双紙はその国々の諸人(しょにん)も聞きおよび見及たる咄の証拠たゞしきをあつめ五巻(ごくはん)として諸国百物語と名附けるとしか云。
(しかし、これは怪談という趣じゃ無いかも知れませんね、どちらかといえば伽婢子ほうが怖いかな。)
さて、『百物語』『伽婢子 』の系列を年代順に追って行くと
万治 二年 (1956) 百物語
寛文 六年 (1666) 伽婢子
寛文十一年 (1671) 続伽婢子
延宝 五年 (1677) 諸国百物語
天和 三年 (1683) 新御伽婢子
貞享 三年 (1686)百物語評判
元禄 五年 (1692)諸国新百物語
・・と続いています
先回ご紹介いたしました万治二年の『百物語』には「どんなお話しでも物語を百語ればからなず怖ろしいことになる・・」というだけで、怪談に限定した話しでは無かったようです。
では、『○○百物語』といっても、お話しは幾つぐらい載っていたのでしょう。
『近世怪異小説研究 』には一覧があります。
百物語 二巻 一〇〇話
諸国百物語 五巻 一〇〇話
百物語評判 五巻 四一話
諸国新百物語 五巻 二二話
御伽百物語 六巻 二七話
こう並べてみると、百の物語があるのは上の二つ。
そのうち怪談で百のお話しを集めてあるのは『諸国百物語』だけです。
ところで、諸国百物語の百番目のお話しは何なのか、気になりませんか?
次回は、そのお話し
百物がたりして富貴になりたること です。
近世怪異小説研究 太刀清 著 笠間叢書137 笠間書院刊
図書館で借りているのですが、この本はとても興味深い本です。
諸国百物語の百のお話も全て載っていました。
おはようございます、コメントをいただきありがとうございました。ここは無愛想な古典記事が多いのですが、よろしければお気軽にコメントを入れてやってください。
春草・牡丹は白牡丹でしょうか。春草絵画はいずれも繊細で涙がでるほどに美しいと常々思っております。(いえ、それほど日本画は詳しくないのですがね、好きというだけです・笑)
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
2008.07.23 08:45 URL | 丹桂 #S2b0Fqvo [ 編集 ]
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2008.07.22 23:48 | # [ 編集 ]
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